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戦略

IT推進できている企業とできていない企業の二極化が顕著に。そんな「IT格差」は業績や年収、経営課題に影響することが判明!

#AI導入

弊社が提供する、ビジネスへのAI活用を推進するサービスブランド「NURO AI」は、全国の中小企業で働く1,033名を対象に「全国中小企業のDX進捗」に関する調査を行いました。
調査結果の要点と「IT格差」を是正するためのキーワード「8S」について解説をしていきます。

DX到達度チェックツールもぜひご活用ください

調査結果サマリー

調査概要は以下になります。

調査対象
中小企業(従業員数20~100人)で働く全国の男女1,033人
調査期間
2022年9月9日〜13日
調査方法
インターネット調査モニターによる定量調査

1. IT化の進捗度合から読み取れる「IT格差」

IT化が進んでいる企業(26.2%)とIT化の計画段階にある企業(34.6%)で半数以上になったものの、進んでいない企業は約4割(39.2%)と全体的に二極化傾向。

調査結果「IT化の進捗」

調査結果「IT化の進捗」のイメージ

コロナ禍を経て、働き方や企業経営が変わる中でデジタル庁が発足され、国を上げてのデジタル化が進行しています。そんな中で、今回の調査では中小企業のIT化に向けた実態が判明しました。

「IT格差」が拡大していると判明

「IT格差」とはなにか?それは、IT化が進んでいる企業が全体の約6割に対し、IT化が進んでいない企業が約4割にも及んでいること。また、IT化の取り組みを始めている企業/計画をしている企業と、全く手をつけていない企業が二極化している結果のことになります。

中小企業の中でもIT化が進んでいる企業は「ツール導入」「ペーパーレス化」「社内ネットワークの拡張」の順番でIT化が進んでいて、どこでも社内システムにアクセスができ、紙からデジタルへの移行や、リモートワークなどの働き方が可能な環境が進んでいることが見受けられます。

逆に、IT化が進んでいない企業についての要因としては「人材不足」「売上・受注の停滞、減少」が主な理由として挙げられています。IT化が進んでいない企業の中でも半数がIT化を進めたいと希望しているものの、人材面と費用面がボトルネックとなり、IT化を進められていないというのが現状です。

2. IT化の進捗と相関する業績と年収

コロナ前(2019年度)と調査時点(2022年9月)の「企業の業績」や「収入」を比較すると、IT推進化企業は1/3以上(34.7%)が業績、3割程度(26.2%)が給与のアップを実現したのに対し、IT化が進んでいない企業は4割以上(40.2%)が業績低下、3割近く(26.4%)の給与が下がっている。

調査結果「進捗×業績の比較」

調査結果「進捗×業績の比較」のイメージ

調査結果「IT化の進捗×年収の比較」

調査結果「IT化の進捗×年収の比較」のイメージ

「IT格差」がもたらす影響

「IT格差」が問題となっている大きな要因として、業績や収入への影響が挙げられます。IT化が進んでいる企業のうち30%以上が業績アップ、業績が下がった割合が25%ほど。それに対して、IT化が進んでいない企業は業績アップの割合が15%前後、下がった割合が40%ほどという結果になっています。

つまり、IT化が進んでいる企業は業績にいい影響があり、それを受けてさらにIT化を推進していけるという循環になっていて、業務の効率化や働き方の多様性を経営に反映できています。社員の収入面にも反映でき、IT化の推進がプラスの循環に働いています。

IT化が進んでいない企業は、業績が下がる傾向にあり、IT化への投資も難しく、社員の収入面でもマイナスに働いてしまう循環ができてしまっています。

3. IT化の進捗度合で異なる、求める支援策と目的

IT化推進化企業の約7割(71.2%)が業績・経営課題の支援策が明確になっているのに対し、推進できていない企業のうち約5割(48.4%)が支援策の分からない「IT迷子」状態になっている。

求める支援策

IT化を推進できている企業の場合は、求める支援策が明確なのに対して、IT化が進んでいない企業は「何をしていいかわからない」という「IT迷子」状態に陥っています。

調査結果「求める支援策」

調査結果「求める支援策」のイメージ

IT導入の目的

IT化を進めている企業の目的を見ていると「業務効率化」と「コスト削減」が突出して多くあり、次いで3位の「セキュリティ対策」の順番になっていて、大きく投資して売上を伸ばすというよりも、まずは、できるところから社内の改善を目的にしているケースがほとんどです。

IT化が進んでいない企業の多くは『会社のIT化に関してどのような情報やサポートが必要か(複数回答)』という質問に対して「分からない/特になし」「社員への教育」「IT化の推進方法・体制に関する情報」が上位となっており、全体の約半分の企業が「分からない」を含めていることを考えると、IT化を推進したくても、何から手をつけてよいか分からないというのが現状です。

調査結果「IT導入の目的(IT化が一部でも進んでいる/計画段階の人)」

調査結果「IT導入の目的(IT化が一部でも進んでいる/計画段階の人)」のイメージ

「IT格差」を是正するための3S+5S「8S」

では、どのようにして「IT格差」を是正して、IT化の推進による業績アップ、社員の収入アップにつながるプラスの循環に入るのかをお伝えしていきたいと思います。ポイントとして8つのS「8S」を挙げさせてもらいました。特に先に紹介する3Sが大事なポイントになります。

1. Specific(具体的に)

IT化を進める上で重要なことは、【具体性】になります。
「なんのためにIT化を推進するのか」という目的です。どんなにいいITサービスがあっても、目的が明確ではなければ、効果を実感することができません。

IT化推進企業では「業務効率化」「コスト削減」を目的にしているところがほとんどですので、まずはこの2つを目的にすることをおすすめします。
さらに一つ付け加えるとすると、目的を設定する上で、経営課題と連動性が重要です。経営上の課題で、どの部署の業務を効率化するといいのか。どの業務のコスト削減ができるといいのかと考えて、それが経営課題の解消につながるのであれば、経営幹部から現場までの同じ目的を持ってIT化を進めることができます。

IT化を進める上での最初のポイントは、【目的の具体化】になります。

2. Squeeze(絞る)

次の重要なポイントは、【絞る】です。
目的を設定すると、あれもこれもIT化を進めないと考えてしまいますが、ちょっと待ってください。まずは、その中から優先順位を決めて、IT化する範囲を絞ることが重要です。

例えば、事務職の業務を効率化したいと考えたときに、一気に考えるのではなく、経理業務なのか、人事業務なのか、労務業務なのか。経理業務に絞ったとして、会計業務なのか、経費精算なのか、見積書・請求書の発行業務なのかを絞っていく必要があります。最初は小さな変化かもしれませんが、一つのIT化を実現することにより社内にその経験が蓄積するので、次のIT化へのノウハウもたまります。

優先順位を決めて、やることを【絞る】ことをおすすめします。

3. Speed(素早く)

IT化の3つ目の重要なポイントは【素早く】やることです。
IT化と聞くと、数百万円以上の投資をして、半年から1年かかると考えている方も多いかもしれません。また、人材がいないからうちでは無理だと半ば諦めている場合もあるでしょう。そうしている間にも、競合他社はIT化を進めて「IT格差」が広がっていきます。

大事なのは失敗してもいいから、素早く進めることです。簡単に失敗してもいいからと言っているわけではありません。例えば、業務の効率化を目的にして、経理部門の経費精算業務に絞ってIT化を進める場合に、現在のITサービスであれば、月額数千円で始められ、場合によっては『無料期間』を設けているサービスがあります。

IT化に不安があり進められないと考える方は、多くのITサービスを提供している中で、比較したときに多少月額が高くても、導入サポートや運営サポートが充実しているところを選ぶことをおすすめします。
ほとんどの場合に、ITに詳しくなくてもITサービスが使えるように作られていますので、安心してください。何事も始めの一歩には不安がありますが、【素早く】始め、社内のIT化の一歩を踏み出していくことは非常に重要です。

ここまでが特に重要な3つのSになります。続いて、さらに知っておいたほうがいい5つのSについて解説します。

4. Step(徐々に)

重要な3つのSにも関連しますが、【徐々に】が4つ目のポイントです。
3つのSはどちらかというと、最初の一歩を踏み出すためのアドバイスでしたが、IT化は長期的な取り組みでもあります。大きく投資をして失敗することや、ためらって進めないことを考えるよりも、少しずつ進めていくことが大事です。

例えば、経理部門のIT化を進めたら、次は人事部門、労務部門といった形で徐々に業務の効率化を進めていって、営業部門やマーケティング部門といった売上につながる部門のIT化まで進めていけば、1年後には全く違う会社の姿になっています。
誰でも最初は、わからないことだらけですが、徐々にIT化を進めていけば、そのスピードや自社にあったITサービスの選定も上手になっていきます。 中長期的な取り組みとしてIT化を【徐々に】推進していきましょう。

5. Spread(拡張性がある)

次のポイントは、少し難しいですが、【拡張性がある】ことになります。
ITサービスの特徴として、サービス同士の連携が挙げられます。例えば、勤怠管理をしていたサービスから、ボタン一つで、給与業務のサービスに連携して、給与計算ができるようになる。有給管理から同じく給与計算に反映するといったものになります。

どのITサービスを選ぶかを迷うことがあると思いますが、まずは、サポートが充実していることは先に述べたとおり、その上で、使いやすさや自社の業務にあっているかという点もありますが、この【拡張性がある】ことも重要なポイントです。
ITサービスを導入する際に「弊社の○○というサービスと連携できますか?」と聞けば、可能かはすぐにわかります。

6. Support(補助金)

現在、お金の面が不安でIT化が進まないという企業もあります。それを解消するために「IT導入補助金」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者のみなさまがITツール導入に活用いただける補助金です。ITサービスの月額利用料が最大2年間分の半額が補助金でまかなえるなどの様々なサポートが受けられます。

お金の面で不安がある場合でも、そうではなくどんどんIT化を進めたい場合でも、活用しない手はありません。IT導入補助金の詳しい解説は、以下の記事に書いていますのでご覧ください。

7. Safe(安全性)

安全性にも触れておかないといけません。
多くのITサービスが、クラウド上でデータを保管するため、常に攻撃のリスクが伴います。ITツールを導入するときに、安全性が担保されているかも気になる点になります。

重要な顧客データが流出などのニュースを耳にした機会もあるのではないでしょうか。ITツールを導入する際には、この安全性もチェックする要素になります。

8. Smile(笑顔になる)

最後に【笑顔になる】という点を抑えておきましょう。
IT化を進める上で、経営上の目的は先に説明したとおりですが、最終的には、社員の橋梁を得て、社員の収入が上がり、笑顔になるという点は、外せない要素になります。

この調査の特徴的な回答で、『IT化を推進できている要因は?』という質問に対して、最も多かった回答が『社員の協力』でした。これは、IT化を進める上で、重要な示唆だと思います。収入が上がることだけではなく、リモートワークが進み、働き方が選べるような環境になる。時間のかかっていた業務が楽になる。といったことも社員にとっては嬉しいIT化の成果になります。

IT化を進めていく上で、経営者だけではなく、社員も【笑顔になる】という点はとても大事なことです。

まとめ

「全国中小企業のDX進捗」に関する調査において、その要点と、IT化を進めていく上でのポイントを解説させてもらいました。
本調査の資料では、各設問項目に簡単な解説も加えています。50ページを超える資料となっていますので、ぜひダウンロードしていただき、自社のIT化の推進に役立ててください。

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この記事の著者

日淺 光博​

DX専門コンサルティングファーム・株式会社日淺代表取締役社長。DXコンサルタント。​2012年に起業。財団法人九州経済調査協会アドバイザー、三越伊勢丹グループ会社顧問などを歴任。​DXコンサルタントとして、直近2年間で50社以上のDXプロジェクトに関わり、現在に至る。​
著書に「難しいことはもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください別ウィンドウで表示します」がある。​

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