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AI導入しくじり先生(失敗事例になるな!)

#AI導入

#失敗例​

生徒への指導

皆様はじめまして、意識低い系AIエバンジェリストのマスクド・アナライズと申します。今回は記事を読む皆様を生徒として、講義形式でご案内していきます。
私の仕事は企業向けにAI導入を支援することですが、本当に大変なことばかりです。そして自分の会社にAIを導入するための苦労を知るうえで、この数字をご覧ください。

7

この数字は何だと思いますか?実は、企業のAI導入~活用においてよくある失敗パターンの数です。
今回は「ブームに踊らされてAI導入で失敗しちゃった先生」として、しくじりパターンを7つ紹介します。

しくじりNo.1:
とにかく導入したかった

エピソード

「いまはAIが大ブーム」「あの会社もAIを導入」など、世間がAIの話題で溢れていました。そこで社長から「我が社もAIを導入するぞ!」と指示があり、急遽プロジェクトチームが発足しました。
そんな会社に思いがけない悲劇が襲います。

どうなった?

会社のどんな業務でAIを導入すれば良いのかが、全然分からないのです。
今の仕事の進め方でも問題なく業務は進められるので、どの作業をAIに任せれば良いかの検討がつきません。
他の部署に「AIに任せたい仕事はあるか?」と打診しても、「AIに任せる作業はない」「そもそもAIなんて分からない」という回答ばかりで課題発見には至らず。結局AIにやらせる仕事がわからず、時間と手間をかけて「AI導入する必要はなかった」という結論で良かったのでしょうか。

生徒への指導

AI導入が見栄や宣伝になっていないか確認しましょう。

しくじりNo.2:
良かれと思って余計なお世話

エピソード

AIによる業務改善が話題となり、自分の組織でも役立ちそうな事例がありました。そこで、人間が行っていた面倒な作業をAIで代替するべくAI導入のプロジェクトを進めましたが、予想外の展開につながっていくのです。

どうなった?

作業を担当する部門からは、AI導入に大反対されました。「AIに仕事が奪われる」「AIを業務に取り入れるまでに労力や時間がかかりすぎる」「失敗したら誰が責任を取るんだ」などの意見が噴出したのです。
会社から見れば作業の負担が減るなどの課題解決のメリットもありますが、既存のやり方を変えることは想像以上に抵抗されると分かりました。

生徒への指導

事前にAIに対して周囲がどう考えているか把握しておきましょう。

しくじりNo.3:
仕事の是非もコスパ次第

エピソード

現場から「面倒な作業をAIにやらせたい」という依頼がありました。
手間のかかる作業なので複数の担当者がいますが、人手不足もあっていずれは省力化したいと考えていました。そこで導入費用について外部のシステム開発会社に依頼すると、思わぬ出来事に巻き込まれてしまいます。

どうなった?

提出された見積もりは、こちらの予想を大きく上回る金額ばかりでした。これでは人件費を削減できても、かかった費用を回収するまでに何十年もかかります。仮に上層部に提案しても承認されるわけもなくプロジェクトは頓挫。諦めてこれまでどおり人力で作業を続けることになりました。

生徒への指導

ROI(費用対効果)が見込める業務にAIを導入しましょう。

しくじりNo.4:
できる人はどこにいるのか?

エピソード

手間がかかるため敬遠される業務があり、社内で課題となっていました。
そこでAIによって人間の負担を減らそうと考えて調査した結果、他社で同様の事例を発見できました。現場の了承なども得て開発準備を進めたところ、まさかの展開に陥ったのです。

どうなった?

社内の人材や社内システムを委託している開発会社を含めて、AIを開発できる人材がいませんでした。
他社の事例は複雑なAIが大量のデータを学習する前提のため、非常に高度なスキルが要求されるのです。開発を担当した会社に相談したところ、スケジュールが埋まっており当面は対応できないとのこと。
どんな素晴らしい計画でも、ビジネスとして実行できる人が居なければ意味がないと痛感しました。

生徒への指導

複雑なAIを開発できる人は限られると覚えておきましょう。

しくじりNo.5:
データ・イン・ザ・ダーク

エピソード

社内での色々な問題を乗り越えて、正式にAI開発プロジェクトがスタートしました。技術的にはそれほど難しく、エンジニアも当初は予定どおりに開発が進むと考えていました。しかしある程度開発が進んだ時点で、まったく別の問題に悩まされるのです。

どうなった?

AIはデータを読み込んで学習しますが、そのデータを準備するのが想像以上に大変でした。
学習データとなる素材が紙の書類や、そのままではAIが学習できないデータ形式だったので、手作業で修正することになりました。そのため開発スケジュールは大幅に遅延してしまい、事前に認識していれば対策できたと後悔しきりでした。

生徒への指導

どんなデータが必要になるか事前に調べておくのが成功への近道です。

しくじりNo.6:
反面教師のAI先生

エピソード

工場の生産ラインから、不良品を検知するAIの開発を進めてきました。そこで生産ラインにカメラを設置するなど、後になって困らないように大量のデータを準備しました。それでも急転直下の落とし穴があったのです。

どうなった?

不良品を検知するには、わずかな傷や汚れを見逃さないAIが必要です。ここで準備したデータを手当たり次第に学習させたため、何が原因で不良品なのかが分析できないデータもありました。
結果として、何が問題で不良品と判断したのかが不明瞭で、後から人間の判断も必要なAIになってしまいました。

生徒への指導

学習は、量だけでなく質も重要です。

しくじりNo.7:
トライ・アンド・エラー!エラー!エラー!

エピソード

事前に正しいデータを準備して、順調にAI開発を進めました。まずは試作品が完成し、業務で使うには厳しいものの一定の精度を出せるAIです。
ここから実務で役立つレベルにしようと意気込んだものの、AIの罠が待ち構えていたのです。

どうなった?

いざ精度を上げようにも、どうすれば精度が上がるのかが分かりません。学習させるデータを再度作成するものの、何が問題なのかが分からず時間だけが過ぎていきます。
結局は"そこそこ"の精度に留まり、実務で使えるAIになれないままプロジェクトは頓挫してしまいました。

生徒への指導

AIであっても、先生が丁寧に教えなければ賢くなりません。

しくじりから得た教訓

ここまで企業におけるAI導入のしくじりパターンを紹介してきました。
そして「しくじり」は、大きく分けて2つに分類されます。

しくじりパターン1.「組織的な問題」

1つ目は組織的な問題であり、いつ誰が何のためにどうやってAIを導入するかによって、しくじってしまいます。
対策としては、プロジェクト開始前にAIの特徴や必要な準備などを把握して理解を深めて、遭遇しそうな失敗を事前に回避しましょう。そこで反対が予想される部門や担当者を把握して、反対される理由や要因ごとに回答を準備しておきます。組織で新たなプロジェクトを始めようとすれば、どんなことでも反発は避けられないからです。
どの業務でどうやってAIを活用するかは、AIに詳しくない立場からすると、外部のIT企業やコンサルタントなどに頼りがちです。しかし特定業務や業界事情に詳しいのは、そこで働く方々です。まずは現場にヒアリングしながら課題を抽出し、お互いに意見交換するなどして誰がどこでAIを導入すべきか考えましょう。

しくじりパターン2.「技術的な問題」

2つ目の技術的な問題を掘り下げていきます。
ここではAI開発における学習やデータに起因する問題があります。AI開発に必要な作業の流れ、必要なデータ、精度向上のノウハウといった内容を事前に把握しておくと良いでしょう。
そのうえで自社がしくじりそうな場面を避けつつ、必要なデータを準備しておきましょう。

まとめ

現場での失敗は、『AIは人に代わって何でもできる』と期待値が高すぎるために起きていると感じました。
AIは人工知能と言うだけあり、求められた結果を判断するためにデータを正確に学習させることが生命線であるようです。まずは、専門書やWeb記事などの情報収集から始め知識を増やし、AIでできること・できないこと、データ学習の方法を理解することが成功への第一歩だと思います。
そして、自分でも勉強を進めつつ、社内での導入をメンバーと協力して進め、しくじりを回避しましょう。

この記事の著者

マスクド・アナライズ

ITスタートアップ社員として、AIやデータサイエンスに関するSNS上の情報発信において注目を集める。同社退職後は独立し、DXの推進、人材育成、イベント登壇、ニュースサイト向けの記事や書籍の執筆などで活動。現場目線による辛辣かつ鋭い語り口で、存在感を発揮している。
著書に「データ分析の大学」「AI・データ分析プロジェクトのすべて」「これからのデータサイエンスビジネス」がある。

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