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戦略

デジタルガバナンス・コード実践の手引を専門家が解説!

#DX推進

#中小企業のDX

2022年に経済産業省から改定発表されたデジタルガバナンス・コード2.0を元に、DXの推進について改めて徹底解説していきたいと思います。

自社がDX到達度の平均と比べて進んでいるのかを知ることから始めましょう。選択肢に回答していくとレーダーチャートで自社のDX到達度が可視化され、コンサルタントによるアドバイスを受け取れます。

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デジタルガバナンス・コードについて

デジタルガバナンス・コードについて、政府資料は以下のように説明しています。少し長いですが、全文を記載したいと思います。

あらゆる要素がデジタル化されていくSociety5.0に向けて、ビジネスモデルを抜本的に変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)し、新たな成長を実現する企業が現れてきている。一方、グローバルな競争の中で、競合する新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例(デジタルディスラプション)も現れてきている。

こうした時代変化の中で、持続的な企業価値の向上を図っていくためには、

  1. ITシステムとビジネスを一体的に捉え、新たな価値創造に向けた戦略を描いていくこと
  2. デジタルの力を、効率化・省力化を目指したITによる既存ビジネスの改善にとどまらず、新たな収益につながる既存ビジネスの付加価値向上や新規デジタルビジネスの創出に振り向けること
  3. ビジネスの持続性確保のため、ITシステムについて技術的負債となることを防ぎ、計画的なパフォーマンス向上を図っていくこと
  4. 必要な変革を行うため、IT 部門、DX 部門、事業部門、経営企画部門など組織横断的に取り組むこと

が重要であり、企業全体の組織構造や文化の改革、中長期的な投資を行う観点から、経営者の関与が不可欠なものである。

一方で、我が国企業で本格的なDXの取組は遅れており、レガシーシステムがいまだ足かせとなっている企業や、ビジネスモデルの変革に取り組むものの、変革の入り口で足踏みしている企業も多い。また、企業のDXを進める能力を無形資産と捉えた、経営者とステークホルダーの対話も十分に行われていない。

こうした背景の中で、経営者に求められる企業価値向上に向け実践すべき事柄を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめていくこととする。企業がDXの取組を自主的・自発的に進めることを促すとともに、特に、経営者の主要な役割として、ステークホルダーとの対話を捉え、対話に積極的に取り組んでいる企業に対して、資金や人材、ビジネス機会が集まる環境を整備していく。

なお、対象は、上場・非上場や、大企業・中小企業といった企業規模、法人・個人事業主を問わず広く一般の事業者とする。また、ステークホルダーという用語は、顧客、投資家、金融機関、エンジニア等の人材、取引先、システム・データ連携による価値協創するパートナー、地域社会等を含む。

デジタルガバナンス・コード2.0 | 経済産業省

つまり、伝えたい内容をまとめると以下のとおりです。

「社会がデジタル活用の方向に変わっていくんだけど、今のままだと、人が頑張る昭和の仕事方式なので、それはやめましょうね。経営をデジタル化するために頑張ってくれた経営者の皆さん・企業の皆さんには、その取り組みを認定企業として評しますね」

企業経営者にとっては、これは悠長に構えていい話ではなく、この流れが加速していくと以下のような懸念点が出てきます。

  • 一定のデジタル要件を満たさないと、公共の仕事が受けられない
  • 一定のデジタル要件を満たさないと、補助金や助成金の対象にならない
  • 一定のデジタル要件を満たさないと、業界の大きな再編に乗れない

現時点では、まずはDXを様々な会社で取り組みましょうと言っていますが、全体的にデジタル化が進んできた時に未対応の場合は、上記のような締め出しが起こらないとも限りません。

デジタルガバナンス・コードの4つの柱

続いて、デジタルガバナンス・コードで提示されている4つの柱について見ていきます。
こちらも少し長いですが、全文引用をしていきます。

デジタルガバナンス・コードは以下の4つの柱で構成されていて、1から順に取り組んでいくことで、企業のDXが推進していくという考え方になっています。

  1. ビジョン・ビジネスモデル
    1. 企業は、ビジネスとITシステムを一体的に捉え、デジタル技術による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた、経営ビジョンの策定及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルの設計を行い、価値創造ストーリーとして、ステークホルダーに示していくべきである。
  2. 戦略
    1. 組織づくり・⼈材・企業⽂化に関する⽅策
      企業は、デジタル技術を活用する戦略の推進に必要な体制を構築するとともに、組織設計・運営の在り方について、ステークホルダーに示していくべきである。その際、人材の育成・確保や外部組織との関係構築・協業も、重要な要素として捉えるべきである。
    2. ITシステム・デジタル技術活⽤環境の整備に関する⽅策
      企業は、デジタル技術を活用する戦略の推進に必要なITシステム・デジタル技術活用環境の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策、利用する技術・標準・アーキテクチャ、運用、投資計画等を明確化し、ステークホルダーに示していくべきである。
  3. 成果と重要な成果指標
    1. 企業は、デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標を定め、ステークホルダーに対し、指標に基づく成果についての自己評価を示すべきである。
  4. ガバナンスシステム
    1. 経営者は、デジタル技術を活用する戦略の実施に当たり、ステークホルダーへの情報発信を含め、リーダーシップを発揮するべきである。
    2. 経営者は、事業部門(担当)やITシステム部門(担当)等とも協力し、デジタル技術に係る動向や自社のITシステムの現状を踏まえた課題を把握・分析し、戦略の見直しに反映していくべきである。また、経営者は、事業実施の前提となるサイバーセキュリティリスク等に対しても適切に対応を行うべきである。
    3. [取締役会設置会社の場合] 取締役会は、経営ビジョンやデジタル技術を活用する戦略の方向性等を示すにあたり、その役割・責務を適切に果たし、また、これらの実現に向けた経営者の取組を適切に監督するべきである。
デジタルガバナンス・コード2.0 | 経済産業省

これも解説させていただくと、以下の順番で企業のデジタル化を進めていきましょうと言っています。

  • ビジョンの策定
  • ビジネスモデルの検証
  • DXのための組織づくり
  • 業務のデジタル化
  • 成果を観察
  • 組織全体でDXの継続的な推進体制および文化を構築

これらを徐々に進めていくことが、デジタルガバナンス・コードの実践につながり、ひいては企業が強くなるための方策と伝えています。

では、具体的にデジタルガバナンス・コードの実践の手引では、どのように上記の流れの実践を伝えているのかを解説していきます。

中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引きとは?

デジタルガバナンス・コードとは別に、中小企業庁から全部で59ページにもなる実践の手引も出ています。そこでは、上記の4つの柱を実践するための方法を解説しているので、概要版を元に解説していきます。
以下の図が、上記の4つの柱をまとめて解説したものになります。

「経営者は現在の状況から5〜10年後の未来を描き、そのギャップの解消を進めていく」というやり方です。
これはバックキャスティング型の経営方式でして、今までのような「前年度比110%成長!」といった目標設定ではなく、5年後に向けて現在の状況は100%中20%といった考え方に近いものです。

直近の売上や業績をあげながら実行していく必要があるので、すぐに簡単にはできないものだと私は考えています。
実践の手引には、どうすればよいかという内容も記載があります。それが次の項目です。

DX成功のための5つのポイント

実践の手引では、以下のとおりにDX成功のポイントを解説しています。
これもまずは紹介させていただきます。

  1. 気づき・きっかけと経営者のリーダーシップ
    • 中堅・中小企業等のDXにおいては、経営者のリーダーシップが大きな役割を果たす
    • 特に、DXの推進に取り組む「きっかけ」や、「気づき」を得る機会をいかにして得られるかが重要
  2. まずは身近なところから
    • まずは身近な業務のデジタル化や、既存データや身近なデータの収 集・活用に着手
    • その推進過程で成功体験を得るとともに、ノウハウ蓄積や人材確保・育成し、組織全体に拡大
  3. 外部の視点、デジタル人材の確保
    • 日々発展するデジタル技術を経営の力にするためには、専門的な知見が必須
    • 取組を迅速に推進するため、外部の人材の力を活用しながら不足するスキルやノウハウを補う
  4. DXのプロセスを通じたビジネスモデル・組織文化の変革
    • データやデジタル技術の活用を進める中で、ビジネスモデルや組織の変革を進め、組織文化自体を変革に強い体質に変革を遂げていくことが重要
  5. 中長期的な取組の推進
    • クラウドサービスやAIツールの活用でたちどころにDXを実現した事例は見られなかった
    • 5年後・10年後のビジョンの実現に向けて、戦略的に投資を行いながら地道な試行錯誤に取り組む覚悟が重要
デジタルガバナンス・コード実践の手引き(要約版) | 経済産業省

この記事で何度も触れているとおり、中堅・中小企業においては、経営者への呼びかけが非常に多い印象です。
これは、経営者がDXにおいて果たすべき役割が非常に多いことを意味しています。逆説的に言えば、経営者が本気にならなければ、中小企業のDXは前進しないことも意味します。

つまり
デジタルガバナンス・コードを実践すること=経営者を責任者としてDXを進めること
ということができるのです。

まとめ

いかがでしたか?
企業において、DXを推進するためのヒントもたくさんありますので、一度、実践の手引をご覧になってみてはいかがでしょうか。

※本記事は、以下の文章を元に記事を作成しています。

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この記事の著者

日淺 光博​

DX専門コンサルティングファーム・株式会社日淺代表取締役社長。DXコンサルタント。​2012年に起業。財団法人九州経済調査協会アドバイザー、三越伊勢丹グループ会社顧問などを歴任。​DXコンサルタントとして、直近2年間で50社以上のDXプロジェクトに関わり、現在に至る。​
著書に「難しいことはもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください別ウィンドウで表示します」がある。​

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