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Z世代流コスパとタイパで考えるAI導入計画

#AI導入

AIにも求められる「コスパ」

会社で働く人に求められるものは何でしょう。
真面目に仕事に取り組み、一緒に働く人やお客様に喜んでもらうことでしょうか。しかし現実を見れば、求められるのは成果です。売上や契約件数や閲覧数などの結果であり、なんとも世知辛い世の中です。

もしも「AIを導入しましょう!」と意見を出しても、最初に言われるのは「AIでどれだけ成果が出せるの?」という疑問です。会社としては費用と手間をかけて導入する以上、売上や業務効率が上がるといった成果に加えて、「少ない費用で多くの成果を出したい」というコスパが重視されます。
数年前は多額の費用をかけてAIを導入する計画もありましたが、投じた費用に対して成果が上げられず失敗することもありました。ましてや昨今の原材料費や人件費も高騰する中では、IT投資に余裕がある企業も限られます。

テレビで安くて美味しい飲食店が話題になるように、AIでも「(導入費用が)安くて(業績アップ的な意味で)美味しい」というコストパフォーマンスが求められる時代になりました。いまや大コスパ時代に突入したと言えるでしょう。

コスパのイメージ

Z世代のパフォーマンス重視

AI導入にもコスパが求められる中で、仕事において常日頃から成果を求められる我々はどうすれば良いでしょう。
頑張って結果を出すにしても、個人と人間の力には限界もあります。AIという新たな技術を使いこなして成果を出そうにも、導入する前に成果を求められます。本記事の読者世代といえば、社会人としていろいろな経験を積んだ世代です。それでもコスパを示せと言われて、どうすればいいのか迷うのも仕方ありません。

では、今の時代に一番コスパにこだわる人に着目するのはいかがでしょう。
いつの時代も世相を敏感に反映するのは、若者達です。特に「Z世代」と呼ばれる10代から20代前半の若者にとっては、ITは物心付いたころから身近でした。AIにおいてもスマホアプリでおすすめの動画が次々に紹介されるなど、当たり前の存在として触れています。やはりAIという新しい技術を使いこなすなら、2022年のトレンドに合わせるべきでしょう。
そこで、Z世代の行動様式や考え方を参考にしながら、コスパ重視なAI導入について考えてみましょう。

Z世代(1995年頃~2012年頃生まれ / 10代後半~20代前半)

Z世代のイメージ

  • スマホが当たり前
  • SNSネイティブ(複数使いこなす)
  • 連絡は、InstagramやLINE
  • 漫画は、鬼滅の刃か縦読み

AI検討世代(1975年頃~1995年頃生まれ / 30代~40代)

AI検討世代のイメージ

  • 黒電話をギリギリ知っている
  • SNSネガティブ(炎上が怖い)
  • 連絡は、Facebookや電話
  • 漫画は、ドラゴンボールとスラムダンク

Z世代はコスパ重視

コスパのイメージ

Z世代はバブル経済のような好景気を知らず、生まれた時からデフレや格差社会を目の当たりにして育っており、節約志向で無駄にお金を使うことを避けます。しかし単純に支出を抑えるのではなく、自分の好きなもの(推し)にはお金をかけています。さらに、目的に応じてSNSを使い分けて情報収集するなど、手間を惜しみません。
自由に使えるお金は限られますが、コスト(お金や手間)をかけるべきポイントをきちんと把握しているのです。

AI導入を進める場合

会社でAI導入を進める場合でも、費用の節約ばかりでは失敗の元です。費用を投じる部分を見極めながら、重要な部分に予算を投じるべきです。
上手な節約のためにはAIに関する知識が必要となり、SNSに限らず様々な情報を比較しながら適切な計画を立てましょう。

Z世代はタイパも大事

タイパのイメージ

タイパとはタイムパフォーマンスの略で、Z世代はかけた時間に対して得られる効果を重視します。
わかりやすい例として、ドラマを早送りで見る点が挙げられます。昔はテレビが話題の中心でしたが、いまや動画配信サービスや動画投稿サイトが乱立しており、長い作品や多くの話数を観るのは大変です。そこで、早送りしながら興味がない部分を飛ばせば、短時間で視聴できます。短時間で作品を理解できれば、タイパが高いと言えるでしょう。

AI導入を進める場合

AI導入においても、時間がかかれば費用も増えます。さらに、時間がかかった分だけ期待やプレッシャーも高まります。
短い時間で一定の成果を出すタイパの考え方は、社会人にとっても重要です。計画において重要度が低いものに時間や手間をかける必要はありません。単純作業など外部に依頼できる作業は、早送りするべく外部に依頼できるでしょう。その間にAIを導入する業務の調査、AIに学習させるデータの準備、アルゴリズム開発などの作業を並行して進めれば、より短い期間によるAI導入が期待できます。
会社で働くうえでも、時間は限られた資源です。決められた開発期間でより大きな成果を狙うため、いかにタイパを高めるかを意識しましょう。

観る前にネタバレ

観る前にネタバレをするイメージ

動画配信サービスのドラマは少なくても10話程度、長いものは複数シーズンに渡って展開します。長い作品を1話ずつ視聴したのに、嫌な結末を迎えたら残念な気持ちになりませんか。そこで、Z世代は作品の結末が公開される「ネタバレ」を敢えてします。作品がつまらなかったり、自分と合わなければ、費やした時間が無駄になるからです。
ネタバレにはつまらない作品を事前に避ける効果もあり、効率よく楽しむためには必須の準備と言えます。

AI導入を進める場合

AI導入における「ネタバレ」の効果は、失敗パターンの回避です。
長い期間行われるプロジェクトにおいて、問題やトラブルは避けられません。しかし、計画を始める前によくある失敗の要因を事前に把握しておけば、同じ失敗を回避できます。
AI導入は、試行錯誤を重ねながら進んでいく場面が多くあります。先行き不透明なまま不安を抱えたままでは、精神的苦痛もあるでしょう。そこで、事前にネタバレをしておくことで、安心感を維持しながら失敗を避けてプロジェクトを進められます。

ファンと一緒に作る

ファンと一緒に作るイメージ

Z世代は共通の目的を持った者同士が一緒に作りあげる「共創」を好みます。
クラウドファウンディングで、気になるプロジェクトを支援する感覚です。また、できあがった完成品だけでなく、誰かと一緒に完成品を作り上げるという過程を楽しむことも重視しています。形がある「モノ消費」ではなく、体験を通して得られるものを大切にする「コト消費」に価値を見出しているのです。

AI導入を進める場合

AI導入においても、一緒に計画を進める協力者が重要です。
まずは、AI導入を支援してくれる支持者を集めて、社内で体制を整えましょう。
反対派を含めた全員を説得するのは、現実的ではありません。まずは小規模で良いので、一緒に協力してくれる方々と最初の成功事例を作り上げましょう。
また、AIは設備のような形がなく、目に見えない投資です。しかし形がなく目に見えなくても、価値がある投資であることを理解してもらうことが重要です。そこで数字などの目に見える成果を強調しておきましょう。

Z世代は「SNSネイティブ」などと呼ばれており、最新技術が当たり前の世代です。年代が近い人達だけのコミュニティであれば、新しいアプリを皆で使いこなすのは容易でしょう。
一方で、企業におけるZ世代は新入社員ぐらいですし、他の世代としてゆとり世代にさとり世代、団塊の世代やバブル世代、そして社内で滅多に見かけない氷河期世代と、様々な世代が混在しています。

世代によってAIに対する意識は異なりますが、会社の目標としてコスパの良い成果を求めるという目的は同じです。
そのために、Z世代的な行動様式をAI導入計画にあてはめて、限られた予算と時間を適切に配分しながら、事前に想定される失敗を回避して、社内の協力者と一緒に計画を進めるのは理想的と言えるでしょう。

AI検討世代(読者世代)とZ世代(若者)による協調が重要になるイメージ

AIネイティブのZ世代

時代は常に変化しますが、新しい技術に一番詳しいのは若い世代であることは変わりません。
かつてはパソコンやケータイに詳しかった若者も、いまや社内で中堅ポジションです。そして、社内でAIやSNSや動画投稿サイトに一番詳しいのは、新入社員世代に移り変わっています。企業におけるAI導入において、一番詳しい立場から意見を求めてはいかがでしょう。

AIは、1から作る方法もあれば、ノーコードのAI開発ツールを使う方法、クラウドサービスを利用する方法など、幅広い選択肢があります。立場や役職にとらわれず、一番詳しい人がもっともコスパが良い方法を探すのも責任感が芽生えるきっかけになるかもしれません。
ただし、詳しいからといって依存しすぎるのはNGです。
Z世代は、仕事一辺倒ではなくプライベートも重視しており、自分ばかりに押し付けられては不公平を感じます。そこで、Z世代が他の世代へスキルや知識を提供するなど、作業負担が偏らないようバランスをとりましょう。

どの方法であっても、コスパとタイパが良くて成果が出れば、会社としてのAI導入は成功です。
まずは若い世代に倣って、御社のAI導入計画を立ててはいかがでしょうか。

この記事の著者

マスクド・アナライズ

ITスタートアップ社員として、AIやデータサイエンスに関するSNS上の情報発信において注目を集める。同社退職後は独立し、DXの推進、人材育成、イベント登壇、ニュースサイト向けの記事や書籍の執筆などで活動。現場目線による辛辣かつ鋭い語り口で、存在感を発揮している。
著書に「データ分析の大学」「AI・データ分析プロジェクトのすべて」「これからのデータサイエンスビジネス」がある。

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