推進ノウハウ
AIに死角アリ?視覚に頼らず資格に頼る!
#AI導入
#AI活用

AIの概要や分類・関連技術についてまとめた「0から学ぶAIの基礎」はこちらからダウンロード可能です。
AIの死角とは?
企業でAIを利用するうえで、注意したいことは最終的なゴールです。実は「AIの導入」がゴールとなってしまい、成果を出す段階までいたらなかったという失敗もあるほどです。AIをビジネスに活かすというゴールを見落とす、つまり「死角」に気付かないのです。
では、AIをビジネスに活かすため、どんな目標を設定すればいいでしょう。一見すると社内の意見を集めて要件をまとめることが定石ですが、仕事で役立つAIを的確に説明できるとは限りません。さらに、目標とするAIをそのまま作るのは難しく、予算が膨らみ予定が遅れて、完成したAIが役立たずという結果も珍しくありません。同様の示唆として、下のイラスト(通称「顧客が本当に必要だったもの」)があります。これはAIブーム以前からIT業界において顧客の説明から開発においてズレが生じて、完成したものは役に立たず、費用が膨らみサポートが得られず、最初から必要なものがわかっていなかったという風刺画です。
出典:C.アレグザンダ―・他著,B6判,203p,鹿島出版会,1977年12月
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視覚ばかりに頼らない
この風刺画でわかることは、本当に必要なものを見極めるという点です。
では、AIが役立つ業務を探すことは、目で見てわかるものでしょうか。日頃から業務を担当する目線で見える範囲だけが、AIで解決すべき課題とは限りません。まずは一般的にAIで解決が望まれる要望を探ってみましょう。
AIが解決できる事例
目的 | 部門や業務全体におけるオペレーションの改善 |
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メリット | 作業が遅れる原因を見つけて、業務全体をスムーズにする。 |
目的 | 担当者単位の業務効率化 |
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メリット | 個々人にかかる負担を軽減して、離職率減少などにつながる。 |
目的 | 売上や利益の向上 |
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メリット | 売上増をねらう機会を察知して、事前に準備できる。 |
目的 | 意思決定の高速化 |
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メリット | 最新データなどを集めて、より精度の高い判断ができる。 |
目的 | 顧客や取引先に対する企業価値の向上 |
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メリット | 対応の速さなどを向上させて、信頼度を向上させる。 |
以上の例が挙げられます。
こうした一般的な要望を元に、自社や担当する業務における要望を探ってみます。AIはどうしてもコスト削減が求められがちですが、利益創出につなげることも重要です。また、原材料や光熱費の高騰対策としてAIを活用するのも良いでしょう。いずれにせよ、成果が出るかどうかの見極めが重要です。
そこで、普段の業務では見えない部分を探るため、社内で課題についてデータや数字を探してみます。もしもデータや数字がなければ、調査も行います。手間はかかりますが、無意味な投資を避けるために必要です。
一方で、AIの活用法をまとめるにあたって、非専門家が対応しなければならない現状があります。AIの専門家では依頼料もかかりますし、AIには詳しくとも業界知識や社内業務には疎いのです。その説明のために、さらに時間や予算がかかる懸念もあります。そこで外部業者にばかり依存せず、社内で進めることも想定しましょう。
まずは社内で業務知識を持っている人に、AIの基本的な知識を習得してもらう方法があります。業界や会社の特殊な事情を学習するのは大変ですが、AIの知見は本や教材として提供されています。業務の専門家に一般的なAIの知識を学んでもらう方が効率的なので、内製化を目指しAI人材の育成を進めるきっかけにしてみましょう。
こうして、どの業務にAIを導入すれば役立つかという目星が付きやすくなります。
業務における専門知識や社内の事情は、既に保有しています。そこへ新たなAIの知識を加えることで、ビジネスに役立つAIを作りましょう。
資格の活用
では、AIの専門知識はどうやって学べばよいでしょうか。
企業向け研修・大学・書籍・動画などありますが、必要な学習範囲を取捨選択するのは初心者には難しいです。そこで、最初は広く浅く、必要な部分を学べる学習として資格取得を紹介します。
AIに関連する資格としては主に2種類あり、日本ディープラーニング協会のG検定とデータサイエンティスト協会のDS検定が挙げられます。こちらは一定のITリテラシーを持つビジネスパーソンが、AIやデータ分析を活用するための基礎的な知見を得られる資格です。しかし、ITが苦手な人にとっては難易度が高いので、入門用の資格となる「ITパスポート」もあります。逆にITに知見のあるエンジニアなどは、より高度なAIを学べる日本ディープラーニング協会のE資格もあるので、スキルに応じて受験しましょう。
G検定の試験範囲は、このようになっています。
G検定の試験範囲
解説 | どんな場面で役立つ? | |
---|---|---|
人工知能(AI)とは | 人工知能の定義やこれまでの歴史について。 |
曖昧になりがちなAIの議論について、明確な定義を共有できます。 |
人工知能をめぐる動向 | AIの仕組みや課題、処理を行う技法などについて。 |
AIで可能な処理などを把握して、活かせる分野を見いだせます。 |
人工知能分野の問題 | 現在主流のAIにおける種類や、向き・不向きについて。 |
AIで解決しやすい処理を知ることで、AIに適した課題を選べます。 |
機械学習の具体的手法 | AIが学習して答えを出す様々な手法について。 |
目的や対象となるデータごとに適した手法を選択して、効率よく精度を向上できます。 |
ディープラーニングの手法 | AIの手法であるディープラーニングについて。 |
ディープラーニングが得意とする画像・音声・文章の解析に役立ちます。 |
ディープラーニングの社会実装に向けて | AIに関する法律や、導入におけるプロジェクトの進め方について。 |
想定されるリスクの把握や失敗の回避など、スムーズにAIを活用できます。 |
数理・統計 | 統計検定3級程度の統計について。 |
AIの導き出した回答の理由や根拠について把握できます。 |
合わせて、DS(データサイエンティスト)検定について解説します。こちらもG検定と同じく、ビジネスパーソン向けの資格であり、データ分析の基礎的な内容を学べます。特に、データ分析プロジェクトの担当テーマを見つける課題に対処できるので、業務でどのようなデータ分析に取り組むべきかを探す担当者向けと言えるでしょう。
DS検定の試験範囲は、このようになっています。
DS検定の試験範囲
データサイエンス力 | 統計の理解や各種分析手法など、データから意味を見出す方法について扱います。 |
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データエンジニアリング力 | システムとしての企画やデータベースの扱い、セキュリティなどデータを正しく管理・運用する方法について扱います。 |
ビジネス力 | AI倫理やコンプライアンスなどの契約面から、データ分析結果を活用するプロジェクト運営などについて扱います。 |
G検定とDS(データサイエンティスト)検定の概要と比較
G検定 | DS検定 | |
---|---|---|
範囲 | AI・ディープラーニング中心 | データサイエンス・データ分析中心 |
受験日 | 一般:13,200円 学生:5,500円 ※割引あり |
一般:11,000円 学生:5,500円 |
受験方法 | オンライン | 試験会場 |
開催日程 | 年5回 | 年2回 |
合格率 | 60~65% | 55~60% |
主催団体 | 一般社団法人日本ディープラーニング協会 | 一般社団法人データサイエンティスト協会 |
資格に関する参照先(こちらの内容を元に作成しました)
ビジネスに役立つAIは四角四面ではない
本記事では専門知識にくわえて、AIの仕組みを学ぶきっかけとして資格を紹介しました。
資格試験は、全社的なスキルアップの指針として社員に受験を奨励する企業も多く、ソフトバンク社ではG検定の合格者に2万円と受検料を付与しています。
そもそもAIを導入する目的や役立つ場面は業種業界で異なります。さらに、個別の企業や所属する部門によっても細分化されます。どんな場面でも確実に役立つような万能AIはありませんし、他社の事例を真似ても成功するとは限りません。場面や用途に応じて、個別にAIの活用方法を自力で考えましょう。そのために業務の専門家が、基本的なAIの知識を学ぶことが重要です。自分達でAIの知見を積み重ねたうえで、次の段階として専門家と協業しながら進めていきましょう。AIの導入活用においても、順番は大事なのです。
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