事例
成長する中小企業のDX戦略!
成功する5つのポイントを紹介
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#DX活用例
「DXに興味があるけどどうすれば…」
「DXは売上は安定しているし、DXしなくても…」
と考えている中小企業の経営者の皆様が、正しく成長するためのDX戦略を具体的に書いているのが、この記事になります。
この記事を読んでもらえれば、中小企業がDXで躓くポイントとその解決策がわかります。
長期間にわたり成長するために、ぜひご一読ください。
中小企業にとってのDXとは何か?
DXとIT化の違いについて
中小企業のDXと様々な書籍やメディアでの情報を目にすることがあると思いますが、同時にIT化という言葉も目にすることはあるのではなないでしょうか。
DXとIT化の違いはなにかというと、
- DX
- 会社と戦略と連動した業務改善
- IT化
- 会社の一部の課題を解決するための方法
と定義することができます。
例えば、経理部門のシステムを入れ替える取り組みをする際に、経理部門内での改善施策として実施するのは、IT化。"経理部門も含めた"会社全体の取り組みの一部として、システムを入れ替えるのが、DXです。
DXを進めるべき理由
ではなぜ、中小企業はDXを進める必要があるのでしょうか。
理由はいくつかありますが、以下の2点を中心にお伝えします。
人材不足の解消
今後のどの業種の課題を見ても、労働人口の減少による働き手不足が浮き彫りになっています。今後は、その傾向はますます顕著になっていくでしょう。
特に昨今では、団塊ジュニア世代が50代を迎え、中小企業が生き残るためには、新陳代謝が必要になります。50代の労働人口に比べて、20代の労働人口は約半数となるので、単純に同じ人数で入れ替えるわけにはいきません。
そこで、DXにより業務改善を行い、より少ない人数で効率的に会社組織を作り変える必要があります。
新時代のビジネスを模索
上記のような業務改善と同時に、DXのもう一つの特長が新たな顧客へのアプローチになります。
ECサイトを活用した販売網の構築やSNSを活用した新たな顧客へのアプローチ。サブスクリプションやメタバース、NFTなどの新たなビジネスも誕生してきました。
こうした新しいビジネスは、顧客の行動の変化によって起こっています。テレビからYouTubeに視聴動向が変わったように、顧客の変化に対して新たなビジネスの可能性を追求するためにも、DXは有効な手段です。
中小企業のDX取り組み状況
では、現状、中長企業のDXの状況はどうかも見ていきましょう。独立行政法人 中小企業基盤整備機構が、令和4年5月、1,000社を対象に「中小企業のDX推進に関する調査」したレポートによると。
『DXの取組状況について尋ねたところ、「既に取り組んでいる」が7.9%、「取組みを検討している」が16.9%となっており、合わせるとDXについて推進・検討しているとする企業は24.8%となっている。一方、「取り組む予定はない」と回答した企業は41.1%と4割超となっている。』
DXの取り組み状況(n=1,000)
引用:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査」 | 9ページより抜粋「図-8 DXの取組状況(n=1,000)」
既に取り組みを開始している企業は、一定の成果をあげているものの、まだまだDXに取り組んでいる企業が少ない状況です。
ここで重要なのは、既に取り組んでいる企業とそうではない企業との間で、どんどん経営状況の差が広がっていく可能性があるということです。
中小企業のDXを阻む5つの課題
DXを含んだ中期計画の策定
冒頭に書いたDXの定義は「経営と連動した取り組み」と書きましたが、同時に、3年後・5年後にどういった姿になりたいのかが重要な要素になります。
これまでも、中期計画を描きながら経営を続けてきたと思いますが、DXを含んだとなると途端に難易度が高くなるという声を聞きます。
DXを単なるIT導入計画ではなく中期的な改善計画とするためにも、DXを含んだ中期計画を策定する必要があります。
経営課題をDXで解決する方法を描けない
目の前の課題を解決する手段として、一般的には「ヒト・モノ・カネ」の資源を投入する必要があります。わかりやすい点では、人の採用や新たな機器の購入などです。
これからは、労働人口の減少による生産性の低下を防ぐための対策や業務プロセスをデジタル化することによる効率化、他社とのやり取りのデジタル化と言った解決策が広がっていき、ITによる解決の比重が大きくなります。
世に出ている様々なITサービスは、課題解決を目的としていますが、それを適切に選ぶだけでも苦労が伴い、解決方法を描くための学びが必要になります。
DX推進する人材の育成
ある意味では、この事実が最も核となる部分です。
中小企業において人材育成の方向性は2つあります。経営者自身の育成とDXを推進する中心人物の育成です。
経営者自身の育成
中小企業の場合は、DXの最高責任者は間違いなく社長になります。経営者は「経営者自身で中期計画が描けるか」「部下があげてきたDX計画が適切か」を判断しなくてはいけません。
そのため、会社の誰かを育成するよりも、優先順位として経営者自身の学びの機会を増やすことも必要になります。
DX推進する責任者の育成
経営者が責任者と上述していますが、すべてのDXプロジェクトを管理することは、経営と並行しながらだと物理的に難しいでしょう。そのため、推進する人材を育てていく必要があります。
DX責任者を立てて、まずは少人数での研修やセミナーを活用することをおすすめします。
現場の課題を解決するデジタルサービスの選び方
経営課題のDX解決法とも似ていますが、こちらは現場で具体的にサービスを選定するための課題解決になります。
ITサービスは日々新しいサービスが誕生し、覇権を争っています。その中で、自社に最適なサービスを選ぶことは難しいものです。
中小企業のサービス選定のポイントは3点。
- 無料お試しができるか
- 他のITサービスと連携できるか
- 補助金が活用できるか
これらを選考の基準に探してみてください
DXを進めるための補助金の活用方法
DXを進めようと考えても、やはり先立つのは、お金。予算です。
今、国を中心にDX関連予算は年々増えていて、2022年度の予算は、過去最高の1.2兆円になります。特に中小企業にとって活用できるのが、IT導入補助金になります。
こちらも過去最高の2001億円の予算が計上されており、2年分のITサービスの月額費用や開発費用、ハードウェアの購入費用など、1社につき最大で450万円までの補助金が活用できます。
補助金を活用するためには「IT導入補助金事業者」に登録されている企業との契約が必要になるので、DXを進めるうえで、IT導入補助金事業者を活用して、賢く予算を活用することをおすすめします。
今年度もまだ補助金申請が終わっていないので、まだまだ活用のチャンスがあります。
中小企業のDX成功事例
株式会社YTJ
私が実際に携わった事例ですが、全国40拠点以上で高校生以下を対象にミュージカルなどの習い事を推進している企業です。
この会社は、コロナウイルスの影響でレッスンスタジオに人を集めることが難しくなり、それを打開する方法を模索していました。
その打開策として実践したのが「e-Theatre」というオンラインレッスンサービスです。普段行っているレッスンを動画撮影し会員向けに配信することで、自宅でも習い事が継続できる体制を作り、売上も大きく向上しました。
株式会社山本金属製作所
中小企業庁が発表したDXSELECTIONのグランプリを受賞したのがこの企業です。
製造業として2030年に目指す姿を "Intelligence Factory 2030" と定義して、"Intelligence Factory 2030" 実現のため、4つの戦略を推進しています。
- ① 加工現場のデジタル化と自動化
- ② センシング技術の高度化
- ③ ものづくりデータの蓄積と活用
- ④ 生産拠点の複線化
同社の山本社長は「加工が"見える化"し始めてから徐々に高度な加工ができるようになり、売上は伸びました。」とその結果にも満足しています。
中小企業のDXを進める5つのポイント
DXを含んだ中期計画の作り方
上記の成功事例の山本金属製作所であれば、『「機械加工にイノベーションを起こす」を企業存在意義と定義3つのコア技術を武器に、機械加工というものづくりプロセスからの新たな価値の創造に取り組む企業」』と中期のコア計画を策定しています。
一般的に今までの中期計画は、現在からの延長線と考えがちですが、DXを軸に考える中期計画の策定は、バックキャスト方法を推奨します。
バックキャストとは、未来のあるべき姿をイメージして、そこに向けて、道筋を作っていく方法です。現在の延長線+バックキャストを活用したDX型計画の策定をおすすめします。
経営課題に連動したDX計画の作り方
DX計画とは、ある課題に対してITを活用した解決策を実施していくためのロードマップのことです。
ここで注意することが、その課題だけに注力して、会社全体の課題と連動しているかという点です。以下のロジックツリーのように経営課題から現場の課題を分解して、会社全体が連動したDXを推進することで無駄のない計画が立てられます。
DX推進をうまくいくための人材育成の方法
人材育成については上述しているので、主にDX推進人材の件を補足的にお伝えしていきます。
DX推進人材の中心に研修などを行い育成することが王道の方法でもありますが、私個人としては、外部コンサルタントに育成もお願いするという点も推奨します。
私がコンサルタントだからという理由を抜きに各会社の状況や育成したい個人の特性もありますので、外部コンサルタントに依頼して会社のDXの基盤を整えつつ、半年から1年かけて徐々に内部人材でDXを推進していける体制を作るのが理想と言えるのではないでしょうか。
現場が解決するためのデジタルサービスを選ぶポイント
上記のロジックツリーでいうと、現場の課題は多種多様にあります。
そこに合わせてサービスを選ぶポイントは、上述していますが
- 無料お試しができるか
- 他のITサービスと連携できるか
- 補助金が活用できるか
の3点になります。
さらに最も大事なことが「現場の仕事が楽になるか」という点です。
デジタルサービスを導入したが、仕事量が増えてしまっては何の意味もありません。ある程度広範囲の課題をカバーできる万能なサービスを導入しても使いこなすことができずに現場が疲弊することもありますので「現場の仕事が楽になる」ために現場の意見を聞きつつ、導入することをおすすめします。
IT導入補助金を活用する方法
IT導入補助金事業者の活用には、準備〜申請まで約1カ月。申請から採択まで1カ月かかります。採択後に契約することになるので、すぐに活用することができません。
中小企業においては、導入するサービスを考えて、補助金の対象になるのかを検討する期間も必要なので、十分な期間をもって考えてもらうことをおすすめします。
まとめ
いかがでしょうか。
中小企業のDXを推進する方法をお伝えしてきました。
中小企業と一口に言っても、企業規模も業種も様々かと思いますが、全体の8%弱しかDXを進めていないのが現状です。
DXに少しでも興味がある、もしくは、取り組んでいこうと考えている方がいれば、まずは「中小企業 ○○業 DX事例」などを検索して、自社にあった事例を探してみてください。
今後は、業種別の事例がある記事も増やしていきますので、合わせてご覧ください。
この記事の著者
日淺 光博
DX専門コンサルティングファーム・株式会社日淺代表取締役社長。DXコンサルタント。2012年に起業。財団法人九州経済調査協会アドバイザー、三越伊勢丹グループ会社顧問などを歴任。DXコンサルタントとして、直近2年間で50社以上のDXプロジェクトに関わり、現在に至る。
著書に「難しいことはもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください」がある。