事例
人事労務DX=HRテックの導入!?
成功事例とともに各業務別に解説します。
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人事労務DXで効率化を目指す
人事労務のDXを進める際の重要なキーワードは「HRテック」です。
HRテックとは、コロナ禍で人との接触が難しくなった際に、様々なサービスが登場し、また充実してきた分野になります。
HRテックの導入が、そのまま人事労務部門のDXと言っても過言ではありません。
この記事では、HRテックをとおして、人事労務部門のDXを紹介していきます。
人事労務部門がHRテックの導入を進める!3つの理由
1. 人事業務の効率化
人事業務は、主に採用と社内の人事業務に分かれます。
採用業務をとってみても、募集、面談、採用とさらに細分化され、どの媒体で募集するか、面談に誰をアサインするか、採用を誰に出すかなど、詳細を詰めればキリが無いほど大変な業務です。
社内の人事業務は割愛しますが、同様に社員の最適配置や人材育成、研修・セミナーなど様々な業務があります。
これらを、システムを活用して効率化していくことができるのが、人事分野でのDXであり、HRテックの導入になります。
先に挙げた採用管理や面談管理、面談する人のための診断テストなど、対応するシステムは細かくあり、それらを活かすことで、採用業務を効率化することが可能です。これまで担当者の手で管理していた情報をシステム化することにより、採用管理が楽になった、リモート面談を導入できたなどの成功事例も多々あります。
人事業務の効率化を進めることで、より成功率の高い採用活動や人材育成につながることになります。
2. 労務業務の法整備に対応
勤怠管理を始めとした社員の労働管理については、働き方改革法案の影響により整備が急務になります。
働き方改革法案により、以下の8つが全体の方向性と定められました。
- 時間外労働の上限規制を導入
- 年次有給休暇の確実な取得
- 中小企業の月60時間超の残業の、割増賃金率引上げ
- 「フレックスタイム制」の拡充
- 「高度プロフェッショナル制度」を創設
- 産業医・産業保健機能の強化
- 勤務間インターバル制度の導入促進
- 正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の禁止
これらにすべて一から対応することは、容易でありません。
そこで、労務管理システムを導入することによって、これらの法整備に対応した業務を行うことが可能となります。
また、法整備が変わっても、代表的な労務管理のシステムは対応することになるため、その際の対応も楽に行うことができます。
詳細は働き方改革についての記事で解説していますので、ご覧ください。
3. 人事データを会社の戦略に活かす!
近年、労働者が減少していく中で、退職者を抑えつつ、社員を育成し、適材適所へ配置し、能力を活かし会社も成長するということは、会社にとっての永遠の課題と言えるでしょう。それが実現に近づけば、業績にもプラスの影響があることも明らかです。
HRテックには、人事評価をもとにして、会社の最適配置をサポートしていくサービスもあります。これらを活用することは、経営視点から見て非常に有効です。
人事労務部門の業務別DX
採用DX
採用と一言に言っても、今はその手法も様々です。
従来型の募集媒体、リファレンス採用、社員推薦などの様々な手法があります。それらを駆使して、広く採用活動を行いながら管理していくのは容易ではありません。
そこで、採用業務のDXを推進することでできるメリットを紹介します。
業務の効率化
紙ベースの履歴書や職務経歴書をチェックして、採用を進めていく活動には膨大な時間がかかります。
これらのチェックにAI判定などを利用して、面談日程をITツールで自動化し、面接官のアサインも管理できれば、業務の効率化を図ることが可能となります。
また、クラウドによる採用管理も業務の効率化につながります。
採用母集団の形成や採用工程の可視化や管理、データ活用といった採用強化策の指標を得ることが一つのシステムで実現できます。事例によっては、数百時間の削減につながり、かつ、始めやすいものがあるので、クラウド導入を検討してもいいのではないでしょうか。
候補者管理の簡略化
担当者が応募者や候補者の管理をExcelなどで行っているケースも多いのではないでしょうか。また、送られてきた書類の管理などもそれぞれのPCに保存されている場合もあるでしょう。
システムを導入することで、これらのデータベースが構築でき、誰でもWebにつながっていれば呼び出すことが可能になります。
入力したデータも閲覧できるので、面談の際に印刷する必要もなく、採用と管理をスムーズに進めることが可能です。
候補者を取り逃がさない
現在、若い世代になるほどスマホに適した形で応募できることが望まれます。従来型の「メールアドレスに添付して送ってください」という応募形式だけでは、応募の段階で候補者を取り逃がしてしまいます。
オンライン面談、チャットツールやLINEなどのスマホで手軽に応募ができるITツールを駆使すれば、正社員採用だけではなく、アルバイトを常時必要とする業種では、特に効果を発揮します。
採用業務をとってみても、HRテック分野は細分化されていて、これらの一部の導入が進むだけでも、改善がみられます。
人事評価
人事評価分野もHRテックによって大きく進んだ分野になります。
最近では、「戦略人事」なんて言葉も生まれています。
こちらも、人事評価のDXを推進することで得られるメリットを紹介します。
評価に対応
半年に1度、もしくは1年に1度、一定規模の会社の場合には、社員の評価面談を行っている企業がほとんどではないでしょうか。これらは、所定のExcelシートに社員が記入して、上長が面談を行い、その評価をしていくという手法かと思います。
社員の希望や振り返りを聞きながら、次の目標や異動などの措置を講じることがあるでしょう。
人事評価をDXすることで、これらをシステムで管理することができるようになります。テレワークなどの加速により、上長が管理することが難しくなった今の時代では、上長の主観だけではなく客観的なデータが求められます。
DXによって「評価基準の明確化」「プロセス評価にウェブ面談を活用」「評価内容をオンライン共有」などの取り組みが可能となり、社員に納得感のある人事評価を行うことが可能です。
人事データの可視化と活用
これまで、これらの評価を活かしきれていましたでしょうか。
DXを推進することで、人事データが可視化され、評価が蓄積していくので、定期的な評価を次の会社の体制に活かしていくことが可能となります。自社の人事だけではなく、採用活動にも客観的なデータを活かすことができるでしょう。
また、AIなどを活用することにより、あらゆる角度から自社の人事データを分析することが可能となり、例えば、新規事業に向いた人材を選び出すことが期待できます。ある部署で枯渇している人材を他部署からの異動で活用するといったことも可能となります。
社内評価をそれ単体で終わらせるのではなく、会社の成長に向けた人事データの宝庫として活用することで、会社は人事戦略をより具体的に描くことが可能になります。
労務管理
労務業務のDXは、働き方改革が叫ばれる中で、どの会社も対応が求められる分野になります。
労務DXを推進することにより、どういったメリットがあるかを見ていきたいと思います。
デジタル化や自動化、クラウド活用による効率化
労務分野は、同じようなデータを繰り返しExcelに入力したり、紙で管理することが多い分野です。
紙のデータをExcelに入力して、さらに集計作業をする、といった業務が多く、勤怠管理など正確に実施することで1カ月が終わることもあるでしょう。さらに、有給休暇を始めとした各種休暇申請なども紙やExcelで行っているケースがあります。
労務のDXを進め、これらの繰り返し作業を自動化するツールを導入することで、ボタンひとつでデータ入力から集計まで行い、空いた時間を人の手が必要な部分に回すことが可能です。
また、クラウドサービスを導入するという方法もあります。
労務DXをサポートしているクラウドサービスには、勤怠管理や入社書類、年末調整などの書類を管理する労務管理があります。
これらを導入する効果として、オペレーションが改善して、従業員のデータを簡単に活用することができ、結果として組織力の向上につながります。
アウトソーシングする
会社にとって、人事労務を始めとした管理部門の社員は、一般的には最少人数で回すことが多いのが現状です。
繁忙期などがある会社は、その分社員の負担も増え、残業時間も増えていくでしょう。かと言って、採用するのもなかなか難しいという会社も多いのではないでしょうか。
労務のDXが進んでいくと、これらをアウトソーシングで解決する手法を取ることができます。
システムに入力する業務や単純なデータの仕分け作業をアウトソーシングして、それ以外の重要な業務を社員が担うことで、負荷が軽減され、社員の満足度向上につながります。
人事DXの成功事例
採用の事務作業は月40~50時間程度削減
導入企業:分譲マンション管理会社
導入目的 | 手作業で行っている採用関連業務を自動化、一元化することで無駄な作業時間を削減すること。 |
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導入背景 |
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導入効果
- 書類の整理など1日あたり1.5時間程度かかっていた作業を削減
- 事務作業は月40~50時間程度削減
出典:媒体からの候補者取り込みをすべて自動化! ー50時間/月の効率化によって候補者へ向き合う時間を創出 | HITO-Linkリクルーティング
労務管理の時間を月30〜40時間削減
導入企業:福祉系ベンチャー企業
導入目的 | 会社が急成長していく中で、人の手で行っていた労務業務をシステム化して楽にして、作業時間を削減する必要があった。 |
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導入背景 |
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導入効果
- 従業員の働く環境を整えることができて、有給取得や勤怠に関わる申請業務を月で20時間ほど削減。
- 入社手続きや保険の手続きなどを月10時間〜20時間削減することができた。
出典:株式会社日淺事例
まとめ
いかがでしたでしょうか。
人事労務のDXを見てきました。それぞれの業務が、大きなウエイトを占めるため、業務ごとのDXが必要になる分野になります。
今回は、業務単位でそのメリットを解説させていただきましたが、人事労務のDXがまだの場合には、人事評価分野から着手することを個人的にはおすすめします。
まずは、現在いる社員の評価や状況をしっかりと把握して、現有戦力にいかに活躍してもらうかという点が重要だと考えるからです。
とはいえ、どの業務も重要な分野には変わりないので、まずは気になるところから様々に調べてみてもいいかもしれません。
この記事の著者
日淺 光博
DX専門コンサルティングファーム・株式会社日淺代表取締役社長。DXコンサルタント。2012年に起業。財団法人九州経済調査協会アドバイザー、三越伊勢丹グループ会社顧問などを歴任。DXコンサルタントとして、直近2年間で50社以上のDXプロジェクトに関わり、現在に至る。
著書に「難しいことはもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください」がある。