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売上アップ、コストカットも可能!飲食店DXの始め方。

#飲食店のDX

#業種別DX

#DX活用例

「オペレーションが大変だ」
「DXって聞くけどうちには効果があるのか?」
「他のお店との差別化するにはどうすれば良いか」

と悩んでいる飲食店経営者の皆さん向けに飲食店DXの始め方を解説しています。

この記事を読んでもらえれば、飲食店DXの効果とどこから始めたらいいかがわかります。ぜひご一読ください。

飲食店がDXを進めるべき理由

全国で60万店以上ある飲食店ですが、この中で生き残っていくのは、味やサービスだけではなく、様々な要素を組み合わせて、顧客に選ばれなくてはなりません。

売上アップ

飲食店でのDXを進める理由の1つ目が売上アップ。
どのような効果があるかというと、主にリピーターの獲得になります。アプリを活用したポイントカードやLINEなどのミニアプリの活用といった顧客データを蓄積し、それぞれの嗜好に合った提案やキャンペーンなどを適切なタイミングでお知らせすることで、安定した売上アップにつながることになります。
また、Uberやお取り寄せサービスを活用することで、店舗に来店できない方々へのアプローチとして、新たな売上の種を作ることができます。

コストカット

今まで人の手で行っていた、シフト調整や予約受付、配膳作業をロボットにするなどの工夫をしてコストカットをすることが可能です。
仕入れや発注作業といった時間がかかり、経験値や勘に頼る作業をシステムを導入することで、短時間でも生産性の高い体制を作り、業務時間の短縮を図ってコストカットを実施することも可能です。

人材不足の解消

アルバイトを採用してもなかなか定着しないといった悩みも飲食店でもありますが、それもDXで解消できます。
一時的な働き手を募集するサービスを導入したり、マニュアルなどを充実させて働きやすい環境を作ることで、選ばれるお店に変化していくことができます。

飲食業が抱える課題

深刻な人手不足

飲食業界の働き手となるアルバイトスタッフなどは、コロナ禍で「シフトに入れない」「解雇」などの影響を受けました。社員の雇用を守るための決断ではありますが、また1から採用し教育をして経営を立て直すのは容易ではありません。
アルバイトを希望する学生も、不安定な飲食業界を回避することも予測され、長期的にはアルバイト経験者の不足により「不安定な飲食業界で働けない」という社員採用にも影響も生じます。

席数減少と不安感による売上減

十分なコロナ対策をしていくと、床面積あたりの席数は限られます。それによって必然的に客数も減少するため、コロナ以前より売上は減少します。では以前と同様の席数で稼働すればいいかというと、来店客の不安感を拭えなくなるという問題が。感染症対策の清掃や除菌対策などの負担も増えており、不安感を拭うためのオペレーションが煩雑化していくことも考えられます。
こうした変化の中で以前と同じような売上を維持するには、抜本的な業務の効率化が求められるでしょう。

大手外食チェーンの出店攻勢

大手外食チェーンがアルコール業態店舗を大量閉店、などの報道もありましたが、同時に非アルコール業態への転換の動きが加速しています。居酒屋チェーンの鳥貴族はハンバーガーチェーン店での出店増加を目指し、ワタミが焼肉チェーンの出店を早めています。
これにより既存の飲食業界は変わりますが、特に個人店では容易に業態転換ができないため顧客が流れる懸念が増します。常連客とのコミュニーケーションを多くとり、いかに顧客を囲い込むかが生き残りの鍵です。

引用:東京商工リサーチ『2021年(1-7月)「飲食業の倒産動向」調査』別ウィンドウで表示します | 「飲食業コロナ関連倒産推移」

飲食店DXを実現するための技術

店内モバイルオーダーシステム

顧客のスマホから注文できる、モバイルオーダーシステムが誕生しました。席につくと同時にQRコードが発行され、顧客の端末でそれを読み込むことで注文できるシステムです。
これは、データ分析も容易にします。QRコードを発行する時点で来店した顧客数や属性などを入力しておくことでPOSデータとも連携し、どんな顧客が多く来店するのか、何を注文するのかなど顧客データとPOSデータの連動が簡単にできるシステムです。

店外モバイルオーダーシステム

もちろん店外モバイルオーダーシステムもあります。「Uber Eats」を始めとしたデリバリーサービスが伸びており、デリバリーだけではなくテイクアウトも含めた店外飲食をいかに広げていくかも重要性が増しています。
オフィス街なら、まとめてテイクアウトオーダーを受けられるサービス、自宅では飲食店のプロの味を味わえる「お取り寄せ」のマーケットプレイスなどが、来店客以外から売上を確保するための対応も徐々に進んでいます。

ロボットによる自動化

調理、配膳、清掃、バッシング、決済などをロボットでオートメーション化する取り組みも始まりました。深刻な人材不足の解決策として期待されています。配膳ロボットなどは、サイゼリヤでも導入がスタートし、人の接触を避けつつ料理の提供が可能となりました。しかも「オペレーションだけでなくコスト面でも効果が出た」と好評です。
店舗が閉まっている時間にロボットが清掃や調理の仕込みを終わらせることなども期待され、今後の改善と導入価格次第では一気に広がっていくことも考えられます。

食×バイオテクノロジー

代替肉や陸上で魚を養殖する陸上養殖などの、食に関するテクノロジーが注目を集めています。
代替肉では、スタートアップ企業「ネクストミーツ」が注目され、国やメディアの後押しもあって徐々に認知度が高まりました。
陸上養殖では、NTTや電通などの大手企業とベンチャー企業が協業してバナメイエビ実証実験も始まっています。他にも大学発のベンチャー企業がサクラマスの養殖を始めるなど、水産大国日本の威信をかけて世界に打って出ようというフードテック企業が続々と登場しました。

AIによる需要予測や来店予測など

複数店舗を経営するような方には、AIの需要予測なども十分効果のあるサービスになります。
POSデータや顧客データと連動したらその日の来店予測をすることができます。これにより、今まで担当者の勘に頼りがちな発注作業の精度が高まったり、フードロスの削減や人員の最適化などが可能で、コストカットができます。

LINEミニアプリ

LINEに限らずですが、予約からキャンペーン告知などオールインワンで実施できるミニアプリというサービスが徐々に充実してきました。
新規顧客には、新規のみのキャンペーンから予約までを一気通貫でできますし、一度来店した顧客にも同様にキャンペーンを打つことができます。
来店するごとに顧客データも蓄積されていくので、リピーターの獲得につながる良いサービスになります。

CRM

CRMとは顧客管理システムのことで、顧客を管理することが可能です。
顧客向けのキャンペーンやクーポン発行が可能なものもあります。新規の顧客獲得はもちろん、リピーター向けの施策などを行うことで、安定した飲食店経営をすることができます。

POSデータや顧客データと連動させ、需要予測や来店予測をするイメージ

飲食店でDXを進めるためのステップ

STEP1. 現在の課題を洗い出す

可能であれば、中期計画を策定したうえで、その目指す姿と現実のギャップを課題として洗い出す必要があります。
課題を洗い出す際には、経営計画とリンクして進める必要があるので、付箋などを使いロジックツリーを作ることを推奨します。
また、現在の業務フローを可視化すると改善点が見つかるので、業務フローを書くこともおすすめします。

STEP2. 店舗をDX化することで実現したいことの明確化とビジョンの浸透

上記で課題と業務フローなどの可視化が明確になったら、DXを進めるうえでのアクションプランを作る必要があります。
デジタル化を進めても、現場の理解が得られないとなかなか浸透していかないので、やること(アクションプラン)だけではなく、どんな飲食店を目指しているのかを浸透させていく必要があります。

STEP3. 経営課題に合わせて課題と要望の優先順位をつける

アクションプランが上がってきたら、経営課題や現場での要望の強さなどを加味して、優先順位をつけていく必要があります。
すべての改善を同時に進めることは難しいので、まずは、自社で完結できるところから小さく始めて成功体験を積んでいくことがポイントです。
飲食店の場合は、課題とオペレーションが直結している場合があるので、まずは、現場のオペレーションに影響の少ないものや現場が使いやすいものを選んで優先順位をつけていきましょう。

例えば、「オーダーの受付を簡素化したい」という要望があったとして、これを実現するためにオーダーシステムを導入するとします。
この場合に、システムを導入するだけではなく現場での教育やオペレーションの変更も伴ってくるので、システム導入後にどういった店舗運営になるかを考えてシステムを選ばなくてはいけません。

STEP4. 決済やシフト管理などの取り組みやすいところから始める

自社での業務管理などの優先順位を決めたら、現場での取り組みをスタートするフェーズです。
どのサービスがいいのかなどを悩むことがあると思いますが、以下の3点を基準に選ぶことをおすすめします。

  • 無料お試しができるか
  • 他のITサービスと連携できるか
  • 補助金が活用できるか

そして、いちばん重要な選定の基準は「現場が楽になる」と感じてもらうことなので、現場の方の意見も聞きながら、DXの取り組みを始めていきましょう。

まとめ

いかがでしょうか。
飲食店のDXについてまとめてみました。徐々にコロナウイルスの影響は減ってきましたが、まだまだ厳しい市況ではないでしょうか。

日々の業務が大変かと思いますので、大掛かりな投資をするというよりも、改善計画を策定してDXを進めていくことで、半年から1年後には大きく変容しているという進め方を推奨します。

この記事の著者

日淺 光博​

DX専門コンサルティングファーム・株式会社日淺代表取締役社長。DXコンサルタント。​2012年に起業。財団法人九州経済調査協会アドバイザー、三越伊勢丹グループ会社顧問などを歴任。​DXコンサルタントとして、直近2年間で50社以上のDXプロジェクトに関わり、現在に至る。​
著書に「難しいことはもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください別ウィンドウで表示します」がある。​

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